住宅購入するならいつ住民票を変更する?手続きが楽になるタイミングを解説

住宅購入するならいつ住民票を変更する?手続きが楽になるタイミングを解説

「住宅購入後、住民票の住所変更はいつ行えばいいの?」
「住所変更が遅れると、住宅ローンの手続きや税金に影響が出るのではないか心配・・・」
「住所変更のタイミングを間違えて、手続きが複雑になったり余計な手間がかかったりしそうで怖い・・・」

初めての住宅購入では、手続きのひとつひとつが大きな不安材料になりますよね。特に、住民票の住所変更のタイミングは、間違えると面倒なことになりそうで心配になるものです。

そこで、この記事では住宅購入における住所変更のタイミングや必要な手続きをわかりやすく解説しました。この記事を読めば、住宅購入後の住所変更のタイミングを正しく把握し、スムーズに手続きを進められます。ポイントをおさえて、安心して住宅購入のための一歩を踏み出しましょう。

住宅購入をしたあと住所変更のタイミングはいつ?

住宅購入による住所変更のタイミングは2つあります。

  • 住宅ローンの契約前
  • 引越し後14日以内

 

住宅購入において、住所変更のタイミングはこのどちらかを選ぶことになりますが、選び方次第で税金や手続き方法が大きく異なるので慎重に検討しなければなりません。そのため、それぞれのタイミングで住所変更するメリット・デメリットを正しく把握したうえで判断することが重要です。

 

住宅ローンの契約前に住所変更するメリット・デメリット

住宅ローンで家を購入する際、住所変更は「住宅ローン契約前」までに済ませておくのが理想的だとされています。

 

住宅ローン契約前に住所変更を行うメリット・デメリットは下記のとおりです。

 

メリット デメリット
  • 登記の手間やコストが省ける
  • 登録免許税の軽減措置の手続きがスムーズになる
  • 法律にふれる可能性がある
  • 住宅ローン控除が適用できない場合がある

 

具体的に見ていきましょう。

メリット1:登記の手間やコストが省ける

ほとんどの金融機関では住宅ローンの契約の締結時に「融資を受ける住所」の住民票が必要です。住所変更を住宅ローンの契約前までに済ませておくと、登記手続きを一度で完了させることができるので余計な手間を省けます。

 

もし旧住所のまま登記を行ったとしたら、のちのち新しい住所に移った時に再度登記を行わなければならないため、司法書士への報酬など2万円程度が無駄になります。

 

登記前に新住所に移しておくことで、これらの手続きを一度で済ませ、時間とコストの両方を節約できるのです。

 

メリット2:登録免許税の軽減措置の手続きがスムーズになる

住宅購入すると、登記をする際に登録免許税を支払わなければなりません。ですが、購入したのが自宅であれば軽減措置を受けることができます。

 

登録免許税の軽減措置を受けるためには「住宅家屋証明書」が必要です。住宅家屋証明書とは、一定の要件を満たした場合に市町村が発行する書類で、登記上の所有者と実際に住んでいる人物が同一であることを確認して発行されます。

 

そのため、もし登記上の住所が旧住所のままであれば、証明書の発行には新住所への登記変更が必要です。しかし、最初から新住所で登記を行っていれば、この住所変更手続きが不要となり、住宅用家屋証明書の発行が迅速に進みます。

デメリット1:法律にふれる可能性がある

住民基本台帳法では、原則として引っ越し後14日以内に行うことが義務付けられています。引っ越し前の住所変更が法律違反になるかどうかは「グレーゾーン」となっており、引っ越し前の住所変更を認めない自治体は多いです。

 

そのため、多くの人が役所での手続きに頭をかかえがちです。

 

引っ越し前に住所変更をしようと考えた場合

「役所が黙認してくれるかどうか」

「嘘をつきとおしたほうがよいのか」

など、不安でうしろめたい気持ちになってしまうことでしょう。

デメリット2:住宅ローン控除が適用できない場合がある

住宅の価格は高額なので、購入するにはほとんどの人が住宅ローンの融資を受けることでしょう。しかし、住宅ローン控除を利用する際には、新住所での登記に注意が必要です。特に、中古物件の耐震補強工事が必要な場合、登記のタイミングによって控除が適用されないケースがあります。

 

住宅ローン控除を受けるためには、一定の基準を満たした住宅であることが条件です。中古住宅を購入して耐震補強工事を行った場合、耐震工事済みを証明する「耐震基準適合証明書」が必要です。

 

ですが新住所で登記してしまうと、住宅ローン控除の対象外となる可能性があります。なぜなら、控除の対象となる「入居」のタイミングが、登記を行った時点で「入居済み」とみなされてしまうからです。

 

中古住宅の耐震補強工事を行う場合は、住所変更をする前までに耐震基準適合証明書を取得するようにしましょう。

引っ越してから住所変更するメリット・デメリット

住民基本台帳法では引っ越してから14日以内に転入届を出して住所変更するように決まっています。引っ越してから住所変更を行うメリット・デメリットは下記のとおりです。

 

メリット デメリット
  • 登記手続きがスムーズ
  • 重要書類が現住所に届く
  • 住宅を将来売却する際に住所を一致させる必要がある
  • 登録免許税の軽減措置の手続きを急がなければならない

メリット1:登記手続きがスムーズ

住宅ローンを借りる際は、旧住所で登記を行うと、役所への手続き回数を最小限に抑えることが可能です。旧住所での登記により、住宅ローン契約をスムーズに進めることができます。

 

新住所での登記を行う場合には、金銭消費貸借契約を締結する時点で住民票や印鑑証明書を新住所に変更しておかなければなりません。ローン契約前までに新住所の手続きをすべて完了させる必要があるため、スケジュールがタイトになってしまいます。

 

しかし旧住所で登記を行う場合、ローン契約までに新住所への住民票変更を行う必要がないため、役所での手続きが大幅に軽減できます。住宅ローンの本審査申請時に必要な住民票や印鑑証明書を旧住所のままで取得できるため、役所に何度も足を運ばずにすみます。

メリット2:重要書類が現住所に届く

住宅ローン契約前に住所を変更すると、役所や金融機関などからの重要書類が新住所に届く可能性があります。しかし新住所には誰もいない状態なので、書類が返送されたり紛失したりするリスクがあるでしょう。

 

ですが、引っ越し後に住所変更を行えば重要書類をきちんと受け取れるので、支払いや手続きが遅れる心配はありません。

 

デメリット1:住宅を将来売却する際に住所を一致させる必要がある

実は、不動産登記の住所変更に法的な縛りはないため、現住所で登記したまま放置しても罰則などはありません。しかし、住宅を将来売却する際には、登記上の住所と現在の住所を一致させる必要があります。

 

手続きを行うために司法書士に依頼すると約2万円程度の費用がかかりますが、不動産の権利を証明するためにも将来的な売却を見据えたうえでも、引っ越した後に新住所で登記しておいたほうがよいでしょう。

デメリット2:登録免許税の軽減措置の手続きを急がなければならない

登録免許税の軽減措置を受けるためには住宅家屋証明書が必要になります。ただし、住宅家屋証明書は新住所での手続きが基本なので、旧住所の場合は手続きが複雑で必要な書類も多いです。

 

自治体の申立書の入居予定日は「引渡し日から遅くても2週間以内」と書かれている場合も多く、タイトなスケジュールになりがちです。事前に準備をして手続きがスムーズにできる状態にしておきましょう。

引っ越したあとに住所変更がおすすめオススメな人

一般的には、住宅ローンの契約前がコスト削減できる「理想的な住所変更のタイミング」とされていますが、引っ越したあとに住所変更した方がいい場合もあります。

 

特に下記のタイプは、引っ越したあとに住所変更するのがおすすめです。

 

  • 手続きは正攻法できちんと進めたい
  • 契約から引き渡しまでの期間が短い
  • 昭和56年12月31日築以前の中古住宅を購入し、耐震補強工事をする予定の人

 

どのタイミングで住所変更したほうがいいかは、あなたの状況や希望によって異なります。

住所変更するタイミングごとのメリットデメリットを正しく理解して、後悔のない判断をすることが重要です。

住所変更の手続き方法と必要書類

住所変更のための手続きを表の一覧にまとめました。下記のとおりです。

 

手続きする場所 内容
役場 住民票・マイナンバー・国民年金・国民健康保険・児童手当の異動手続き
警察署・免許センター 運転免許証の住所変更手続き
警察署 車庫証明の再取得
運輸支局・自動車検査登録事務所 車検証の住所変更
学校 転校の手続き

 

【役場】住民票・マイナンバー・国民年金・国民健康保険・児童手当の異動手続き方法

住所変更のために、まず最初に行うべき手続きは役所での「転出・転入届」です。転出・転入届の提出により住民票を新住所へ移動させ、他の手続きを進めるための基盤が整います。

 

マイナンバーカードを持っており、転出届などの手続きをマイナポータルで済ませる場合は、異動前の役所での手続きは必要ありません。ただしマイナポータルを利用しても、異動後の手続きには来庁しなければならない点に注意しましょう。

異動前の役場で行う

住所変更のための下記の手続きは、異動前の役場で行う必要があります。

  • 転出届
  • 国民健康保険の資格喪失手続き
  • 児童手当受給事由消滅の手続き

 

転出届の手続き

提出期限 異動前~異動日から14日以内
必要な書類・もの 住民異動(転出)届書、本人確認書類、印鑑
備考 マイナンバーカードがあり、マイナポータルで住所変更を行う場合は、転出元への来庁は不要。

 

国民健康保険の資格喪失手続き

提出期限 異動前~異動日から14日以内
必要な書類・もの 国民健康保険証、本人確認書類、印鑑
備考 マイナンバーカードがあり、マイナポータルで住所変更を行う場合は、転出元への来庁は不要。

 

児童手当受給事由消滅届

提出期限 異動の15日前~異動日まで
必要な書類・もの 児童手当受給事由消滅届、印鑑
備考 異動後の役所での申請の際に、「所得課税証明書」が必要な場合があります。

事前に窓口に相談しておきましょう。

 

異動後の役場で行う

住所変更のための下記の手続きは、異動後の役場で行う必要があります。

  • 転入届
  • 国民年金の住所変更手続き
  • 国民健康保険の加入手続き
  • 児童手当の認定請求手続き
  • マイナンバーカードの継続利用手続き

 

転入届

提出期限 異動日から14日以内
必要な書類・もの 転出証明書、本人確認書類、印鑑

 

国民年金の住所変更手続き

提出期限 異動日から14日以内
必要な書類・もの 国民年金手帳、本人確認書類、印鑑
備考 マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合は、原則として届け出は不要。

 

国民健康保険の加入手続き

提出期限 異動日から14日以内
必要な書類 転出証明書、国民健康保険証、本人確認書類、印鑑

 

児童手当の認定請求手続き

提出期限 異動日から15日以内
必要な書類・もの 児童手当認定請求書、印鑑、申請者・配偶者・児童のマイナンバーカード、もしくはマイナンバー通知カード、児童の住民票(児童と申請者が別居している場合)、申請者の健康保険被保険者証のコピー、もしくは年金加入証明書(厚生年金へ加入している方のみ)
※マイナンバーカード・マイナンバー通知カード通知が提出できない場合は、申請者の住民税の課税証明書・本人確認書類が必要。
備考 郵送申請も可能

 

マイナンバーカードの継続利用手続き

提出期限 転入届出日から90日以内
必要な書類・もの 転出証明書、マイナンバーカード(暗証番号も必要)、本人確認書類、印鑑

【警察署・免許センター】運転免許証の住所変更

運転免許証の住所変更手続きも忘れずに行いましょう。手続きの場所は、新しい住所を管轄する警察署や運転免許センターになります。免許証は日常的に使用する身分証明書でもあるため、手続きは早めに行うようにしましょう。

 

期限 異動日から15日以内
必要な書類・もの 運転免許証記載事項変更届、運転免許証、新住所が確認できる書類

 

【警察署】車庫証明の再取得

住宅を購入したら、車庫証明の再取得も必要です。車庫証明の再取得は警察署で行います。手続きは、住所を変更してから15日以内にしなければなりません。

 

期限 異動日から15日以内
必要な書類・もの 自動車保管場所証明申請書、保管場所標章交付申請書、保管場所の所在図・配置図、保管場所使用権原疎明書面など
備考 申請書類は管轄警察書ウェブサイトよりダウンロードができる

【運輸支局・自動車検査登録事務所】車検証の住所変更

住宅を購入したら、自動車検査証(車検証)の住所も変更しなければなりません。車検証の住所変更には車庫証明の提出が必要です。手続きの期限は住所を変更してから15日以内なので、車庫証明の再取得申請から交付までの期間を考慮して、手続きをスムーズに進めていきましょう。

 

期限 異動日から15日以内
必要な書類・もの 自動車検査証の原本、申請書、使用者の住所を証する書面、ナンバープレート、自動車保管場所証明書、自動車税・自動車取得税申告書など
備考 車庫証明の再取得後に車検証の住所変更手続きを行う

【学校】転校の手続き方法

お子様がいる場合、転校手続きも必要です。新居に引っ越す日が決まったら、現在の学校に転校の旨を伝えてください。

 

その後の具体的な手続きは下記のとおりです。

①現在の学校から「在学証明書」と「教科書給与証明書」を取得する

②役所への転入届を提出した際、「在学証明書」を提示して「転入学通知書」をもらう

③転入する学校へ連絡し、転入の手続きを行う日時を決める

④転入する学校に「在学証明書」「教科書給付証明書」「転入学通知書」を提出する

引っ越しにともなう手続きと必要書類

引っ越しには、下記の手続きが必要です。

  • 賃貸の解約手続き
  • 電気・ガス・水道の解約・契約手続き
  • 郵便の転送手続き

賃貸の解約手続き

賃貸住宅からの引越しであれば、契約の解約手続きが必要です。管理会社や家主と連絡を取り、契約に基づいた解約を進め、退去時の確認を行います。

 

退去連絡の期日は、賃貸契約書に示してあります。連絡が遅くなると、無駄な家賃を請求されてしまう場合もあるので、期日はしっかり確認しておきましょう。

 

提出期限 賃貸の契約書に記載
必要な書類・もの 退去届、印鑑

電気・ガス・水道の解約・契約手続き

電気、ガス、水道などのライフラインは、引越し前に解約手続きを行い、新住所での利用契約を結びます。

 

期限 引越しの1ヶ月前から1週間前までが目安
必要な書類・もの 水道の申し込みを郵送で行う場合は、水道使用開始申込書が必要
備考 手続きは、インターネット・電話・郵送などで行う

郵便の転送手続き

重要な郵便物の受け取り漏れを防ぐためにも、引っ越した後は郵便局で「転居届」を提出し、旧住所に届く郵便物が新住所に転送されるようにしましょう。手続きをすれば、旧住所あての郵便物等を1年間、新住所に無料で転送してもらえます。

 

期限 なし
必要な書類 転居届、本人確認書類
備考 インターネットや郵送での手続き可。

住所変更の注意点

住宅を購入する際の住所変更で特に注意したいのは2点です。

 

  • 住所変更のタイミングを自治体に相談しておく
  • 新居にはポストを設置しておく

住所変更のタイミングを自治体に相談しておく

住所変更のタイミングは、自治体や住宅会社に事前に相談しておきましょう。

 

住所変更は住宅ローンの契約前が理想ですが、自治体によっては入居前の住所変更は基本的に認めないケースも多いです。ですが、売買契約書を提示すれば、例外的に住所変更が認められる場合もあります。自治体や住宅会社に相談しながら、柔軟に対応していくことが重要です。

新居にはポストを設置しておく

新居には早めにポストを設置しましょう。ポストを設置していなければ、役所や金融機関からの重要な郵便物が受け取れない可能性があります。特に住所変更を入居前に行った場合は、仮ポストだけでも設置しておくほうが安心です。

よくある質問

住宅購入のための住所変更でよくある質問をまとめました。

Q住宅購入時に住民票を移さないと法律違反ですか?

A引っ越したあとに住民票を移さずにいるのは法律違反です。住民基本台帳法では、原則として引っ越し後14日以内に行うことが義務付けられています。正当な理由もなく住民票を異動しなかった場合には、5万円以下の過料(軽い罰金刑)を徴収されます。

Q住宅ローンの住民票は新住所でなくてもいいの?

現住所のままでも問題ありません。住宅ローンの融資を受けるための申し込みや契約時に金融機関側から新住所の住民票を求められるのは、金融機関側の不利益を避けるためです。住宅ローンの契約のために住所変更するのはやめましょう。

Q転出と転入日を同じ日にすることはできますか?

転出届と転入届は同じ日にできます。旧住所で発行された転出証明書とともに、新住所地で転入届を提出してください。

まとめ

この記事では、住宅購入における住所変更のタイミングや必要な手続きを解説しました。

購入した不動産を新住所で登記するか旧住所で登記するかは、税金や手続き方法に大きく影響します。時間もかかる作業なので、それぞれのメリットデメリットをよく理解して、自分にあったタイミングで住所変更するようにしましょう。

 

とはいえ、あなたや家族の置かれている状況や経済的な状況によって、いつのタイミングで住宅を購入し、どのタイミングで住所変更すべきか迷いやすいものです。不安が大きいなら、どのタイミングがベストかいちどプロに相談してみてはいかがでしょうか。

 

「お家の買い方相談室」では、住まいのあらゆる悩みについてアドバイスやおすすめの会社をご紹介するサービスを行っています。「いつ住宅購入に踏み出して、どの時点で住所変更をするべきか」など、あなたのお話をうかがったうえでしっかりお応えいたします。また、役立つ最新の情報や土地探しから可能な住宅会社のご紹介もしておりますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。新築や家づくりの相談先を探す人、大歓迎です。

 

お家の買い方相談室は、もちろん無料でご利用いただけます。「住宅を購入するときの住所変更のタイミング」について、わたしたちと一緒に考えていきましょう。

おうちの買い方相談室に早速相談してみませんか?

ふわっとしたイメージでも大丈夫!

050-7587-8158

受付時間 9:00-18:00 定休日 水曜日

「いくら借りられるか」よりも
安心して返せる金額で家づくりしませんか?

住宅専門のお金のアドバイザーが
あなたに合った資金計画を
お手伝いします。