【年収の◯倍は信用するな】住宅ローン返済可能額は「◯◯」から逆算

  • 著者

    おうちの買い方相談室事務局

  • 監修者

    杉山 将樹

多くの方が、マイホームを購入する際に悩み「迷子」になるのが、住宅ローンです。

ここでは、マイホームを購入した先輩たちの経験をもとに、適正な住宅ローンのお話をしますね。

 

まずは、住宅ローンの金額と型です。

数千万円という金額もそうですし、頭金や固定型?変動型?と今まで考えもしなかった選択と決断をしなければなりません。

そして、その数千万円が感覚を麻痺・鈍らせたまま住宅ローンという金融商品を購入してしまいます。

 

銀行・信用金庫など、金融機関で住宅ローンの相談をすると......

年収を基準に「年収の何倍まで」や、年収に占める毎年の住宅ローン返済額をもとに借入可能額(共に上限!)を算出されるのが一般的です。

  

ただし、金融機関が示す借入可能額はあくまで「借入可能上限」金額であり「返済が可能」な金額、という訳ではありません。

 

一瞬の聞き落とし、確認漏れ、何よりも「大丈夫」というなかば自己暗示のように『借入上限額=返済可能額』と考え、結果として住宅ローンの負担感が増しているのが実状です。

 

こちらは、国土交通省が住宅ローンを利用して住宅を購入された方を、ランダムに調査した「住宅市場動向」のデータです。

 

◎戸建て住宅購入者の住宅ローンに対する負担感。

  1. 非常に負担感がある(生活必需品を切りつめるほど苦しい):14.4%
  2. 少し負担感がある(贅沢はできないが、何とかやっていける):56.0%

合計:70.4(国土交通省調べ)

 

*ちなみに、マンション購入者の負担感はさらに大きく、上記の1.2.合わせて74.6%。

「夢」とまで考えたマイホームを購入した直後から、70%以上の方が負担感を感じる。なぜ?金融機関の査定もクリアし住宅営業マンも確認した借入可能額なのに......。

  

住宅ローンの組み方に失敗した人の声に多いのが、以下のような内容です。

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家を購入すること、住宅ローンを組むことは可能ですが、購入した家の負担で日常生活に大きなズレが始まったら本末転倒です。

 

そうです!!

住宅ローンが組める=適切な借入額とは別問題なのです。

 

こうならないためにも、住宅ローンの組み方、考え方について、住宅購入を考える最初の段階でしっかりと学んでおきたいですね。

  

早速大事なポイントを見ていきましょう。

 

住宅ローンの借入可能額、目安は?

一般的に、住宅ローンの借入可能額は年収の5倍から8倍程度です。

  

年収の5倍以内が、無理なく返すことのできる安心ラインだと言われています。

たとえば、年収400万円の人であれば、2,000万円までが安心して返すことのできる額ということになりますね。

  

一方で、年収の7倍以上になる住宅ローンは、返済していくうえでギリギリのラインだと言われています。

年収400万円とすると、2,800万円です。

 

全体の金額で表すと、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんので、月々の返済額を家賃と見立てて比較してみましょう。

 

金利1.2%、35年で返済と仮定。

年収400万円:①2,000万円借り入れた場合は、月々の返済額は約58,340円となり、占める割合は17.5%となります。

同じく:②2,800万円借り入れた場合は、月々の返済額は約81,676円となり、24.5%となります。

 

こうして月々の返済額で見てみると、イメージがつかみやすいですよね。

年収の5倍と7倍では、月々の返済額にこんなにも開きが出てしまうのです。

  

ただし!!

あくまでも参考値ですので、世帯人数や教育スタイル、人生100年時代に考えることは、ご家庭により様々です。

 

そして、何よりも注意いただきたいのは『年収=手取り』ではないということ。

年収400万円の場合、ざっと手取りは320万円です。

 

年収400万円(手取り320万円)の場合→:①21.8%②30.6%になります

所得税、住民税、社会保険料等がありますので「手取り」から考えることが大切です。

 

住宅ローンを借りる際によく出てくるのが返済比率という言葉ですが、これは、年収に占める年間返済額の割合のことで、返済負担率とも言います。

返済比率は住宅ローンの審査の際に必ずチェックされるポイントでもあります。

 

民間の金融機関における住宅ローンでは、年収400万円の場合、返済比率は30%以下が基準とされ、この基準を超えると返済が滞るケースが出てきやすくなると言われています。

 

また、住宅ローンについて計画を立てる際、忘れてはならないのが金利です。

全期間固定金利:2,000万円:期間35年:金利1.2%の場合、支払利息の総額は約450万円になります。

 

一方、0.2%上昇した、金利1.4%で2,000万円を同じように借り入れた場合、支払利息の総額は約530万円となり、80万円もの違いが出てきます。

  

0.2%......数値で見るとわずかな差に見えてますが、実際には大きな差になりますので、返済可能額が決まったら、しっかりとした住宅購入時期や金融機関の選択が必要ですね。

 

住宅ローンと家賃の違いは?

「家賃がもったいない」「家賃+数万円なら」とマイホーム購入を考える方がいますが、それはとても危険です。

  

住宅ローンを組むことは、基本的には「何があっても35年間遅滞なく払い続けます」と金融機関と約束をすることだからです。

家賃がもったいないなら、可能な限り家賃の安い物件に引っ越せば良いのですし、手狭なら可能な限り広い物件に引っ越せば良いですよね。

 

人生100年時代をもっともっと、真剣に慎重に考えれば支払いを負担に感じている「70%の先輩たち」の仲間入りをせずに済むかもしれません。

 

また、賃貸で家賃を支払う場合には家賃の金額だけを考えればよいのですが、マイホームを購入するとなると、月々の返済以外にもたくさんのお金が必要です。

 

一例を挙げますと、固定資産税や火災保険料。そして、家の修繕(リフォームなど)が必要になった場合は、数十~百万円以上の修繕費に充てるお金も準備しておく必要があります。

このように、住宅ローンを組む場合は毎月の返済額以外にも、必要なお金があることを必ず思い出してください。

 

大切なのは「借入可能額」ではなく「返済可能額」

マイホームは、購入することが目的ではありません。

マイホーム購入はあくまでスタートライン=住環境の変化です。

 

住宅購入後、安心して住み続けられること、心豊かな暮らしを育んでいくことこそが本当の目的ですよね。

 

「70%の先輩たち」のように、住宅ローンの返済ばかりが気になっていては、せっかくのマイホーム生活も窮屈なものになり、返済のための生活に陥ってしまいます。

 

住宅購入時には安定した収入があるかもしれませんが、今と同じ収入が35年先もずっと変わらず見込めるとは限りません。収入が変わらないとしても、年齢を重ねるごとに、良くも悪くも自分や家族が必要とするお金は必ず変動します。

 

子どもの成長と共に教育資金(塾・部活・私立校・大学など)も増える傾向にありますし、自分自身も年齢を重ねれば医療費などの負担も増えてきます。

   

それに、定年後に安定したセカンドライフを迎えるためには、公的年金「+α」が必要になることも往々にしてあります。

  

今の収入を基準に、安易に「借入可能額=上限」で住宅ローンの計画を立てるのではなく、各ライフステージを見据えて、無理なく返済していくことのできる「返済可能額」で住宅ローンを組むことが、マイホームでの幸せな暮らしにつながっていきます。
 

でも、おかしいですよね......

年収や家族構成、勤務先や勤続年数云々を提出し、金融機関の然るべき審査を通過し、住宅営業マン=家のプロもおススメの家を購入したのに、70%以上もの先輩たちが「負担感がある」との回答。

先輩たちは、10年後、15年後、25年後には「負担感が軽く」なっているのでしょうか......

それでは、いよいよ住宅ローンとライフプランニングの関係性です。

 

住宅ローン返済可能額の考え方

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住宅ローンの返済可能額は、住宅ローン単体ではなく、生活費、教育費、セカンドライフ資金など、人生100年時代の総支出をあわせて考える必要があります。

 

そして、毎年の収入がすべての支出を上回り、貯蓄が増えていけば何の問題もありませんが......

多くのご家庭が第一子の高校入学の頃から、教育費が増えるようになり、貯金を取り崩す時期に入ります(この頃に、水回りや屋根・外壁の1回目のリフォームが必要な場合も)。一年間の収入だけでは賄えなくなり、多くのご家庭が赤字=「貯蓄減少期」になっていくのです。

 

お子さまがひとり立ちされたあとは、しばらく余裕のある暮らしができるかもしれませんが、定年退職した後も住宅ローンが残っている場合は、収入がなくても当然、住宅ローン完済まで遅滞なく返済を続けなければなりません。

 

では、この赤字ポイントにどうやって備えるのか?

物(ここでは「家」)心(安心)お金(貯え)の三つが重なる、豊かな人生を送るためにはどうしたらいいのか?

  

私たちは、人生100年時代の「豊かな人生計画」を「ライフプラン」と呼びます。

 

ライフプランが見えていれば住宅ローンは怖くない

ここまで読まれると、自分がきちんと住宅ローンを返済していけるのかと大きな不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかしながら、ライフプランニングをせずに怖がる必要はありません。

怖がるのでしたら、ライフプランニングを立ててから、正しく怖がりましょう(笑)

 

そう、将来に恐れずに目を向けてライフプランをきちんと立てることができていれば、住宅ローンは怖くないのです。

 

多くの方が言われます。

「こんな時代に35年も先までの収支計画が100%<見通せる人なんていないでしょう」

 

そうです。今は公務員家庭でも先々のことは見通しづらくなってきています。

 

こんな時代だからこそ、見通せる限りを見通し、ライフプランニングを立てなくては「返済可能額」や「豊かな100年人生」を実現することなど不可能に近いことです。

 

私たちは、住宅FPエキスパート資格を保持した、言わば「住宅購入者向け資金計画のプロ」です。

 

エキスパート各々が、年間数十~百件以上のご家族様の「住宅購入専門」のライフプランニングにたずさわり、あらゆるケースから住宅購入時期や費用、教育資金やセカンドライフ資金など豊かな人生を過ごすための「お金の流れ」を導きだします。 

 

各世代ごとに貯蓄のポイントも異なります。

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  1. 独身世代の方は意識しないとお金が貯まりにくい世代です。
    給与は全額自己管理なので、ついつい財布の紐が緩みがちですし、収入もほかの世代に比べると少ない方が多いというのも理由のひとつです。

  2. 子育て世代の方は、周りからのお金に関する話題も増え、「うちの貯蓄額で大丈夫かな~」と漠然とした焦りも生まれるころですが、もし貯蓄がなかなかできていなくても、貯められない時期に入っているだけのことです。
    お子様に愛情をたっぷりと注いであげる時期でもありますので、この場合は、少しお金のバランスを変えるだけでお金を貯めることができます。

  3. 定年前の方は最も貯蓄しやすいチャンスの時期です。
    定年を迎える前にしっかりと貯蓄をしましょう。22歳から65歳までであれば33年働くことになりますが、人生100年時代のセカンドライフは35年。
    働いてきた年月よりも長い期間があります。公的年金「+@」で心豊かな生活を。

 

お金を貯めることは難しいことです。

ちょっとした工夫......とは言えなかなか工夫できない、きっかけがない、実際に上手くいかない......。

簡単に貯まらない、難しいから私たちエキスパートが存在し、ちょっとした工夫やきっかけのお手伝いをしているのです。

 

エキスパート達は、頼られると嬉しいものです。

是非、小学1年生になったつもりで、質問をしてください。

  

まとめ

聞くこと、調べること、選ぶこと、行くこと、決めること......勉強することがたくさんあるマイホーム購入。

初めてのことばかりで、ほとんどの場合が一生に一度。失敗は許されないことを、家族会議の数時間、数日で全て決断することは困難を極めます。

 

少しでも不安があれば、「おうちの買い方相談室」の無料相談にお越しください。

 

住宅メーカーとは異なり、私たちは中立的な立場でお客さまの「人生100年時代の豊かな資金計画」をご提案させていただきます。

  

マイホーム購入は、多くの人にとって人生一度きり。

ほとんど経験したことのないことばかりで、マイホームを購入する前はもちろん、購入後も「1%の幸福と99%の不安」と言われるほどです。

  

せっかくの夢のマイホーム購入。

「70%の先輩たち」と同じ道をたどらない様に。一点の不安もない状態で住宅を購入し、心から豊かな生活を楽しんでください。

 

そのためにも、私たち専門家に不安に思っていることをお話しください。

住宅のプロとしてお客さまが心底笑顔になれる家づくりができるよう、真心こめてご案内させていただきます。

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あなたにピッタリな住宅会社診断はもちろん、
資金計画や購入後のご相談も。

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監修者:杉山 将樹

建築設計、住宅営業を経て、外資系生保会社へ。全国展開の保険ショップ「ほけんの110番」代表取締役、オリックス宮内財団PC取締役を経て現職。家計の見直し相談室(GOENグループ)所属。

■保有資格:住宅FPエキスパート、住宅購入診断士、二級建築士、ex住宅営業マン

この記事を書いた人

おうちの買い方相談室事務局じむきょく

おうちの買い方相談室の事務局です。みなさまのお役に立てる記事づくりを目指しています。

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